「時間を超える価値」

 長保寺は紀州徳川家歴代藩主の墓所がある寺です。約一万坪の山の斜面全体を 利用して広大な御廟所が造営され国史跡に指定されています。この様な墓所は全 国に他に例の無い物です。 紀州徳川家の菩提寺ということで、長保寺は徳川家が 作ったお寺と考えがちですが、そもそもの始まりは平安時代です。平安時代の長保2年、一条天皇から長保という年号を頂き、創建されました。今風に言えば天皇家によって作られた国立の施設ということになります。これがちょうど西暦1000年で、長保寺は今年で創建一千年にあたります。
  今ある主要な建造物は鎌倉時代になって、皇室の力で再建されたもので、本堂 ・多宝塔・大門と国宝で鎮守堂は重要文化財に指定されています。こうして完全 に出来上がったお寺を徳川家が菩提寺と定めました。
  長保寺がある場所は、海の道と陸の道が交差する古くからの要衝の場所でした。 近くの大崎の港では万葉集の歌が読まれ、山越えの道は熊野街道として現在では 想像もつかない位に大変に栄えていました。地元で生活しているとなかなか実感 が湧きませんが、このように歴史の古い土地はそうめったとあるものではありま せん。ちょっと想像して頂きたいのですが、たとえばそうですね本四架橋とかビッ グホエールとかが千年後にはどうなっているでしょうか。
  千年前にお寺が造られ、千年間信仰が連綿と続き、現在もミカン畑の山裾にお寺が存在しています。「時間を超える価値」を信じる人達がいなければ、この様 なことはあり得ないことです。あなたは長保寺で次の千年後にも通じる「時間を 超える価値」を見つけることができるでしょうか。

Date: Tue, 12 Sep 2000 22:07:08


 

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