火天
火天像
紙本著色 十二天のうち、火天 縦72.4 横33.5
桃山(16世紀) 長保寺蔵
十二天は、八方と天地の護方十天と日月二天を言い、密教においては、法要の際に道場の守護神としての役割を担う重要な画像である。平安時代のものは縦横の長 さが近似しているが、鎌倉時代に立像形式の六曲一双の屏風仕立てが登場し、その影響を受けて縦長の画像に立像の十二天を描く十二幅対の画像が流布した。像 容は、持物や台座の形式などの小異はあるが、ほぼ類型化している。
この十二天像は、損傷が著しいが、京都・神護寺や滋賀・聖衆来迎寺の重文十二天画像の系統に属するものである。
「寄進帳」には護摩堂の什物とだけ記されているが、江戸時代の中頃にはすでに長保寺にあったことが分かり、制作年代もまた桃山時代にまで遡るものである。
画像の上のほうが黒ずんでいますが、これは、護摩堂に掛けられていたので、護摩を焚いた煙で煤けたものです
よく、「お不動様の護摩」といいますが、実際は、先ず火天を勧請して一回護摩を焚いて(1段め)から、本尊である不動明王の護摩を焚きます
1段、3段、5段、6段など、諸尊を勧請して色々な種類の護摩があります
修験道などで焚く採灯護摩は、護摩法としては簡略なもので、火天段しかないものもあります
護摩と言う言葉は、サンスクリット語のホーマの音写で、「焼く」という、そのまんまの意味です
火天は大日如来が姿を変えて現れたものとされ、智慧の火で、煩悩を焼き尽くすことを意味します
火天は、大変に高貴な素性、ということになります
護摩木と言って、なにか御祈願を書いたものを火の中で燃やしますが、智慧の火で災いを焼き尽くすのが本来の意味です
天台宗では護摩木の他に、加持物(かじもつ)と言って、芥子(黒ゴマなどで代用)・硬米・白ゴマを投げ込んで祈願します
真言宗は白ゴマだけです
芥子粒は金剛杵に変化して煩悩をうち砕く調伏、硬米は如意宝珠に変化して諸願成就の増益、白ゴマは光明輪に変化して福徳智慧の息災の意味になります
護摩法はヒンドゥー教が炎に供物を投げ込んで、天に煙として生け贄を届ける儀式を仏教的に解釈し直して生まれたことになっていますが、日本にきてから大変洗練されたものになりました
今、チベットでも護摩はやりますが、野外で、多人数で、大変大がかりなものです
修験の採灯護摩に似た感じです
日本では、一人で、屋内でやれるものになりました
こういう形は日本だけですね
いやな事や、忘れたい事があったら、丸めてゴミ箱にポイ、とか、ダイナマイトで爆破するとかいう瞑想法がありますが、智慧の火で燃やす、というのが、一番洗練されているのじゃないかと思いますね
ま、それでも、火天が根源と繋がっていないと、単なる妄想で終わってしまいますけど
♪今、こういうキレのいい仏画を描く人はいないですね♪
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