2006-01-15

発願

僕が高野山にいたころ、聞いた話

奥之院は弘法大師の御廟所だってことは、誰でもご存じのことと思いますが、そこの正面に大きな賽銭箱があります
当番の者が開けて、賽銭を集めます

で、その賽銭箱にはごつい鍵がかかってる、当然ですが

それがですね、どこかの泥棒が、鍵を付け替えて、当番の者が開けにいっても開かないのですよ

とぼけた話ですけど、泥棒が来て、鍵を開けて、賽銭を持って逃げたのです

それが、山の中で泥棒の仲間同士が賽銭を山分けしてるとき、踏み込まれて捕まったそうです
あの辺は、山深いですし、道も限られてますから


高野山にいたことのある者は、一度は聞いた話でしょう
有名な話です


泥棒が鍵を付け替えた賽銭箱に、入れられた賽銭の功徳というか、なんというか、どうなっちゃうんでしょう

これ、弘法大師の御廟の正面ですから、全国から毎日沢山の善男善女がお参りするのですけど、賽銭箱の鍵は泥棒が持ってるのですからね



これが、どこかの仏さんを拝んでて、その仏さんの、正面に、得体の知れない何かがいて、仏さんになりすましていたら、どうなるか

残念ながら、そういう事が無いとは言えません

得体の知れない奴は、拝んでもっらってチョー気持ちいいー、ってだけの場合もあるし、とんでもないお告げなどを下す、かなり悪意のある奴の場合もあります
仏さんの前に居座るようなのは、かなり根性がありますから、手強いです


これは、拝む人が、自分はこうするんだ、という発願をですね、持ってないと、やっぱりだめなんじゃないでしょうか

あれしてください、これしてください、ばかりだと、導くったって、導きようがないし、偽者だったら、とんでも無いところにつれて行かれる可能性もあるわけです

お賽銭なら、徳を積ませていただきありがとうございます、でチャリン
お金は泥棒へ行くかもしれませんが、仏さんへの徳は積んだことになるのではないですかね

拝むんなら、たとえば、家内安全・身体健全、精一杯努力しますので、よろしくお願いします、かなー

よろしく導いてくれる時もあれば、なんにもないこともあるけど、とにかく、自分で努力をしていくわけですから、行き先がおかしくなることはないでしょう

努力なしで、タクシーに乗って運転手に任せたような気になっていたら、偽運転手だと、どこ行くかわからんです
自分で運転するから、守ってください、なら、それなりの運転をすれば、目的地には着きます


まあ、それと、感触ですね
何回も書きますが、「慈悲の感触」
見間違いをすれば、どこ行くかわからないです

ただ、これ、奥之院の賽銭箱みたいな、見分けようがない場合もあるのですよ
それで、発願を大事にしなきゃならないのです

別々の脳味噌で自由があるのですから、自分で、発願するほかないです


どんなに偉い、徳のある神仏を拝んでも、腹減ったから代わりに飯を食うのを頼むわけにもいかないし、眠いから代わりに居眠りするのを頼めるわけでもありません

あれしてください、これしてください、でもって、水飲んどいてください、便所代わりに行ってください、とか、あり得ない話ですよね


どんな御祈祷でも、瞑想でもですね、自分の発願、努力、やっぱり必要です

瞑想するにも、あなたまかせでいれば、どこ行くかわからないのは同じですよ

「誰かのために一生懸命、なにかをする」って生活がなければ、瞑想はただの妄想です

よくあるんだけれど、悟りを開くまでは不完全な人間なのだから人助けは出来ない、しない、って考え方

まあ、一人前の医者でなければ手術は出来ないし、すると言うならとんでもないことなんですけど

南方仏教やチベット仏教なんかは、こうした考え方の傾向があるのです

それをですね、今出来るだけのことをやれよ、ってことですね

包帯巻くだけ、赤チン塗るだけ、荷物運びでも、掃除でも、なんでも仕事はあるだろうってことです

生臭坊主とか言いますけど、これが、悟りを開くまでは仕事はしません、って坊さんだと、もっと扱いに困るよ

そのうちいつか賢さが完成する、じゃ、ずーっと今現在は馬鹿のまんまですよ
今日も精一杯の努力、あすも、精一杯の努力、じゃないですか

何のために瞑想するのかっていえば、苦悩の原因を除くため、苦悩から解放されるため、でしょ

精一杯努力して、苦悩の原因を除こう、すでにある苦悩から解放されよう、新たな苦悩を作らないようにしよう、ってことですよね

だから、瞑想と慈悲は切り離せないんです


偉い神様になるためだ、なんて言ってる奴は、やっぱり相手にしちゃいけませんよ
それは「どんぶり鉢」をでかくしようって野望に過ぎません

苦悩の原因を除き、苦悩から解放されよう、って発願が大事です

それは、だから、やってることを見ればわかるってことですよ


♪結局、忘己利他なんだよねー♪

2 件のコメント:

Anonymous 匿名 さんは書きました...

然り。

3/02/2007 05:18:00 午前  
Blogger Terra さんは書きました...

>匿名さん

どうも

3/05/2007 10:42:00 午前  

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