尊形胎蔵曼荼羅図

曼荼羅図には、尊形(そんぎょう)、三摩耶(さんまや)、種字(しゅじ)と三形式あって、これは尊形曼荼羅です
仏様の姿が描かれているのを尊形と言います
標識、今風にいうとアイコンが描かれているのを三摩耶
種字は仏の名のイニシャルが梵字で描かれています

お寺に曼荼羅がある、と言う場合、この三種が胎蔵、金剛両部でそろっていて言えることです

長保寺には、全てそろっています
このことからも、本山としての機能が果たせるようになっていたことがわかります

ごらんの通り、かなり、ややこしく、細かく、描きこんであります

当然、意味を解釈しようとすると、非常に複雑で高度な知識がなければならず、理解できる専門家の数も限られています

こういうものが尊いとされ残ったのは、曼荼羅そのものが美しいからではないでしょうか

よくわからないけれど、美しい
だから、残す、と
絹本著色 胎蔵曼荼羅図
(胎蔵界)縦105.5 横91.5

江戸中期(天明3(1783)年)

  

通形の両界曼荼羅図で、長保寺第7世徳因(天明8年(1788)まで在職)が、長保寺の什物として京都の仏画師に描かせたもので、天明3年の箱書がある。

和歌山県立博物館「長保寺の仏画と経典」より