銅製香炉並朱漆塗香台 一具  

(香炉)縦21.9 横46.0 高48.5             
(香台)縦45.9 横64.3 高60.3             

 享保10年(1725)

 香炉は、鋳銅製で葵紋の金板を蓋と身の側面に貼りつけている。蓋のつまみと四脚にそれぞれ獅子の意匠を用いる。

朱漆塗の香台とともに、黒漆塗の箱に収納するようになっているが、その箱の蓋裏書によれば、将軍吉宗が享保10年に長保寺内の南竜院(徳川頼宣)の霊前に寄進した旨が記されている。吉宗は将軍に就任したため、紀州藩廟所である長保寺ではなく江戸の上野・寛永寺に葬られることになるが、この資料は将軍就任後も相変わらず吉宗が長保寺との関わりを保っていたことを示している。なお古文書によれば、この香炉は江戸から直接運ばれてきたものである。





和歌山県立博物館「八代将軍吉宗と紀州徳川家」より