長保寺型本水晶五色宝玉瓔珞

長保寺型本水晶五色宝玉瓔珞

今回、大阪大仏堂さんにお世話いただき、国宝本堂の華曼(けまん)の瓔珞を中国の福州にある仏具屋さんで作りました
今回、中国に行った主な目的はこの瓔珞の検品です

白は珊瑚
黒はオニキス
赤は瑪瑙
黄はコハク
青はラピスラズリ
全部本物の玉です

先端の涙滴型の水晶は削り出したものです

金具は銀に金メッキ

当然、全部別注の特製品です
ご覧の通り、キラキラと輝いています
綺麗ですね

玉の瓔珞は昔からありますが、五色の物は長保寺だけです

検品してみて、玉に通す絹糸をやや細く感じました
常時吊り下げますので、伸びてくる恐れがあるので、太くするよう指示しました

糸を通すのが、ちょっと難しく、手間がかかるのですがなんとかなりました

来年、長保寺の本堂は創建700年を迎えます
これは、その記念事業の一環です
まだ、他にも作っている物がありますので、出来上がりを楽しみにお待ちください

五色の意味

赤、青、黄は光の三原色でこれに白と黒を足せば作れない色はありません。同じように心も世界の全てを作り出しています。心の動きを色に配当したのが仏教の五色です

青–空–前五識–妙観察智,阿弥陀如来
黒–風–意識—-成所作智,不空成就如来
赤–火–阿頼耶識–大円鏡智,阿しゅく如来
白–水–如来蔵–法界体性智,大日如来
黄–地–末那識–平等性智,宝生如来

前五識—眼,耳,鼻,舌,身,の五つの感覚器官
意識—起きている時の普通の意識
末那識—自意識,自分という感覚を作る
阿頼耶識—潜在意識,記憶を蓄える
如来蔵—仏心

 
仏教は「唯識観」と言って、自分が生きている世界は心によって把握されているということを根本の基礎にして組み立てられています。
暑い寒い、嬉しい悲しい、全て心が感じているということです。このこと自体べつだん不思議でもなんでもないことですが、一番大事なことです。
この心は原因と結果が連綿と続いて働いています。

これが「縁起の法」で、

因–>縁–>果–>報–>因

つまり、原因–>条件–>結果–>喜怒哀楽–>それがまた原因になる
切れ目無く無限に続いていて、自分と他人の心も網の目の様に繋がっています。
これを「空観」と呼んでいます。

「唯識観」と「空観」が仏教の根本的な考え方です。

悪魔になるのも仏になるのも心次第、地獄を作るのも極楽をつくのも心次第ということです。不平不満や過去の栄光に執着していたら、いつまでもたっても、より良い人間関係は作れないということでもあります。

人間のもつ心が、仏の心に変わる、変わることが出来るというのが仏教です。

見ず知らずの他人であっても、喜んでいるのを見て自分も嬉しい、悲しんでいるのを見て自分も悲しい、という感情が仏心に通じているのです。

深い意味のある五色を仏事の中で様々に使っているのです。