1200年ぶり…天台・高野山真言宗トップ対談 1月7日

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20120107-OYT1T00736.htm
読売新聞で記事にしたようで、コメントしようかと思っていましたが、後回しになりました
まあ、それくらい、たいした内容のない出来事だということです

そもそも、2009年にも、会っているんだよね
会えば、話すことはいくらもあるとは思いますが、新聞記者の筆が滑ったのですね

それと、おそらく、高野の人はアレっと思ったでしょうけど、真言宗は座主とは言いません
高野山真言宗管長、高野山真言宗宗務総長、高野山金剛峰寺法印(ほういん)かな
天台が、天台宗座主、天台宗宗務総長、比叡山延暦寺執行(しぎょう)

ややこしいんですが、つまり、トロイカで、三頭体制ですね
誰が一番偉いかわからないような仕掛けになってます
よく言えば、これも智恵でしょうね

松長さんは、僕が高野山大学の学生の時は、密教学科の教授でした
授業をいくつか受けましたよ
それから、学長におなりになって、大学院の研究体制を極めて計画的に整備して、密教全般オールラウンドに若手の研究者がいる体制を作り上げました
高野山は、狭い世界ですが難しいところで、寺方と大学は、ツーカーというわけではありません
利害が対立する場面も、しばしば有ります
管長と宗務総長は選挙ですから、まあ、公職選挙法など関係ないわけで、よく言えば実力がなければなれません
法印は年功序列でなれることはなれますが、転衣式など儀式に凄い金が必要になりますので、それなりの自前の経済基盤がないと無理なのです
いずれにせよ、世俗的な力も、観念的になりすぎない歯止めにはなると前向きに考えれば、肩書きも無意味ではないでしょう

天台座主の半田さんは、僕は今、天台ですけど、会ったことがない(爆)
座主になるには、長年の積み重ねと準備が必要で、また、高齢でも元気でなければならない役職で、選挙じゃないですよ
僕に言わせれば、生まれながらの運が必要な地位ですね
高野と違って、金など関係ない
宗務総長と執行は、選挙ですから、似てるかな

ただ、高野の法印は、一年間弘法大師の代わりに高野山内のすべての法要の導師になるのが仕事で高野山だけでなく全真言に対して権威がありますが、天台の執行は比叡山の一山内だけの事務責任者といった役職です

で、半田座主と松長管長がお会いになっても、僕らは、会ったこと自体を知らん
いちいち教えてもくれないし
新聞で知るくらいか

まあ、ネットをしない高齢者は、書かれていることをいちいち真に受けて、美しい誤解をしてくださるのでしょう
こういう話題作りは、松長さんの得意な分野ですね
前向きに考えても、特にデメリットが無くてよかったということくらいしか思いつかん
実質的なことは無い、という評価ですね

 
 
 

 

僕は、高野山大学を出て、高野山で修行道場の職員をして、それから比叡山で一からやり直して、天台宗の住職をしてます
だから、両方、わかります

大乗仏教を完成させたのが天台で、加持祈祷を大衆化したのが真言といったところでしょうか
仏教自体の内容は、天台の方が、念仏、禅、法華と枝分かれしたのですから、豊富です
弘法大師は天才だというのは、それでいいんですが、弟子が育たなかったのは、性格的なこともあると思いますね

天台は、初期には密教で真言に遅れをとりましたが、何回も入唐して挽回しました
僕は両方やったからわかるけど、天台の密教解釈のほうが仏教の伝統をより多く踏まえていると思いますよ
たとえば、釈迦大日一体説とか
 
ただ、天台は大乗戒のために有部律を捨てますから、そこは、真言が有部律ですから世界標準ですね

ま、ほとんどの人にはどうでもいいことだと思いますけど