梵天

お釈迦様が悟りを開いた時、あまりに難解で精妙な教えを人々に説いても理解されないだろうと考え、このまま涅槃にはいろうと(つまり死んでしまおうと)思案していました

それだけ、この世を生きるのはつらく、涅槃は楽しいということです
そのとき、万物の根源の神である梵天が現れ、多くの人々のなかには、教えを全く理解できない者もいるが、よく理解する者が必ずいるから、是非教えを説いて欲しいと説得します
これを、「梵天の勧請」と言うのですが、この勧請のおかげで、今、我々は仏教に触れることができるのです
長保寺に伝わる梵天画像は、上のほうが黒ずんでいますが、もとは護摩堂にまつられていて、護摩の炎の煙で煤けたものです
紙に書かれていますので、だいぶ痛んでいます
今でも、行者が、法を説かずに静かに暮らそうと考えていると、梵天が現れ、行者を督励するのです
紙本著色 梵天 
縦72.3 横34.0 16世紀