愛染明王像

この画像も、長保寺が紀州徳川家の菩提寺になる前からある仏画です

地域の本山として機能するよう、曼荼羅に始まり、一通りの種類の仏画が長保寺にはそろえられていました
塔のある寺は「世界の中心を据える」位の意気込みをもって建立されました
中世の日本では、どこの土地が中心地になるか、混沌としていました
どこにも、チャンスがあったのです
群雄割拠ですね
長保寺の今の伽藍は、中世世界特有の「世界の中心を決める」意気込みで整備されました
今なら、笑い話のようなことですが、その意気込みがわからなければ、紀伊半島の歴史はわからないのです
愛染明王像

絹本著色 縦90.1 横42.9 桃山(16世紀)


赤身一面三目六臂で、獅子冠を被り日輪を背に宝瓶の上に載る通形の愛染明王像である。密教においては五秘密菩薩の中尊・金剛サッタの所変として広く信仰された。また、敬愛・調伏を祈る愛染明王法の本尊として、独尊の画像が描かれ、類例も多い。
本図も典型的な愛染明王像で、「寄進帳」によれば、やはり和歌浦雲蓋院住職憲海が修復を奉納しており、長保寺古来の画像であったことが分かる。
和歌山県立博物館「長保寺の仏画と経典」より