火天

紙に描かれた仏画です
江戸時代よりも前のものであることがわかっています
現在見られる古い仏画は絹に描かれたものが多いのですが、やはり、絹は高価ですから、紙に描いたのでしょう

約400年経っている仏画ですが、紙に描かれたにしては非常に保存状態がよいのが驚きです
僕が最初に見たときは、無造作に、箱に放り込まれていました

手が四本ありますが、まあ、平均的なところです
もっと手の多い神様もいます
手に持つ持ち物は神様によって決まっていますので、能力が色々あるのを説明するために、だんだんと多くなったようです
千手観音が一番多いですね

背中に火炎を背負っていますが、火天は、読んで字のごとく火の神様ですから、火が描かれています
護摩を焚くときは、必ず、先ず火天を勧請して供養して、それから本尊を供養します

なぜか、翁だということになってます
理由は・・・よくわからないのです
こういう神様の姿は、最初は見える人が書いたので、それでいいのでしょう

火天
紙本著色縦72.4 横33.5桃山(16世紀)

「寄進帳」には護摩堂の什物とだけ記されているが、江戸時代の中頃にはすでに長保寺にあったことが分かり、制作年代もまた桃山時代にまで遡るものである。

和歌山県立博物館「長保寺の仏画と経典」より