なんのこっちゃ、かもしれませんが
5月29日に、国会で公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)の改正法案が全会一致で可決されました
平たく言うと、政府が公共事業の入札をする時の法律ですね
文化財修理をしていると、いままで、これが、実に問題がありました
つまり、「安ければいい」「複数年度にまたがる工事を一括受注できない」「設計変更しても価格は据え置き」「高度技術は高くつくことを配慮しない」と、思いつくままあげても、いくつも困った状態だったのです
今度の改正で
「敷札が可能」
つまり最低落札価格を設定することが許されます
まったくこれが、低品質工事がまかりとおった元凶の、根本対策です
いままでは、安ければ落札できたわけで、文化財修理でもゾッとするようなことが平気でおこなわれてきました
ここには書きませんが
「複数年度の受注可」
たとえば3年かかる工事でも年度ごとに業者が変わるということがあったのが無くなる
「設計変更したら価格も変更する」
当たり前のことのようですが、いままでは、どこかで余計にお金がかかったら、どこかを削ってつじつまを合わせるようなことがおこなわれていたのです
特に文化財修理は、屋根をめくってみたら酷いことになっていた、などということがざらにあるので、つじつま合わせが必要になることが多かったのです
「高度技術の評価」
たとえば宮大工の日当が高くついても、いままでは、公共事業の設計単価表(ちゃんとこれはいくらとか書いた帳面があるのです)のとおりしか支払えないので、終了時間を長くして残業手当を加算して日当を増やしたりして腕のいい職人を確保できるようにしたりしていたのです
文化財所有者としては、「建設業界イジメもいいかげんにせいよ」と日ごろ思っておりましたが、これで改善にむかうことを期待しますね
まじめな普通の業者が文化財修理に参入してこないという事態にもなっていたのですが、そういう業者が廃業していくので、ようやく法改正になったのでしょうね