いわゆる、変性意識状態、深層意識、深層心理と呼ばれる体験は、通常の五感による経験などど違い、簡単には共有できません
説明するための、神話的コスモロジーが必要になります
似通った神話的コスモロジーの集合を、共同幻想と言うこともできます
「宗教クライシス」上田紀行著 岩波書店
神話的コスモロジーと深層意識のイメージとの一体化は、共同体が保持しているコスモロジーと深層意識の一体化であるから、「絶対的な私」の感覚を強烈に持ちながら、共同体とも絶対的なつながりを持っているという感覚へわれわれを開いていく。しかし、コスモロジーの行き先はあらかじめ決められているため、盲信へ閉じていく性格を持っている。
深層意識でのイメージはコスモロジーがあらかじめなければ、体験とならず、他者とも共有できない。
宗教体験の核心には、神話的コスモロジーが必要である。コスモロジーが宗教体験を可能にし、人間どうしの根元的なつながりを生み出すが、ひとつの限定された物語に収束されてしまうが故に、他の宗教や文化における根元的なつながりを理解できないのである。
つまり、自分の体験を、ある種の世界観(コスモロジー)の中の出来事として意義付けます
たとえば
「恋人と別れなければならないのは、前世から自分で計画していた学びである」などと、意味のある行為として評価します
これは、別の文脈になれば
「恋人と別れなければならないのは、前世で人を裏切ったカルマがあるからだ」にもなれば
「恋人と別れなければならないのは、神の意志による人類覚醒計画の準備だ」にもなるし
「恋人と別れなければならないのは、彼にもっと素晴らしい人があらわれたので、私が捨てられた」に落ち着くこともある、と
「宗教クライシス」要約 上田紀行著
本はなかなか手に入らなくなりましたので、要約を作って、ここに置いてあります