心経玄談 8

今日NHKの、こころの時代で、禅僧の藤田一照師と脳外科医の浅野孝雄先生の対談を放送していました

こころの時代~宗教・人生~「心はいかにして生まれるのか―脳科学と仏教の共鳴」

最新の脳科学と仏教には共通性がある、という話で、大変興味深いものでした

大脳の各部位と、仏教の「色受想行識」は対応しているようだ、ということが分かってきたということです
「大局的アトラクター」というらしいですが、0.5秒間ぐるっと脳を一周して神経回路が働いて(色受想行識に相当する大脳辺縁部が働く)、0.1秒の隙間があって、また継続して神経回路が働く(諸行無常)のが心の発生の瞬間らしいです
0.1秒の隙間に、風が集まって竜巻になるように、小さな火が集まって大きな炎になるように(複雑系理論)選択的意思が生まれるようです

心の発見―複雑系理論に基づく先端的意識理論と仏教教義の共通性
興味深い本なので読んでみようかと思いましたが、Amazonで品切れですね
けっこう高い本です
こちらに、本の元になっている原稿がありますので、ご興味あればどうぞ
なぜか、仏教と最新科学は、共通する部分があるのですねぇ

僕は、仏教の「空」と量子論にも接点があると指摘しているわけですが

量子(Quantum)は、観察される前の状態では「ここである状態と、あそこである状態」が共存して重なりあっているSuperpositionであることが実験で確認されています
観察して始めて、位置と速度を決めることができます

僕は5年くらい前にこの図を作ったのですが、最近ようやく、いろいろなところでSuperpositionが紹介されるようになってきました

スーパーわかりにくいSuperpositionですが、比較的わかりやすく、興味深く説明している動画です

「重ね合わせ(superposition)という概念は、何らかの物体が同時に2つの状態で存在できる現象を意味していますこれはとても妙なことで、私たちの日常生活では経験できないことです当然、量子力学を創り出した物理学者さえも理解に苦しむ大難問でしたたとえば私がここに座っている状態と向こうの方に座っている状態は想像できますでも、同時に両方に座っている状態は想像できませんしかし、量子力学では、まさに重ね合わせ(superposition)の原理によりこれが可能ですこのように原子、電子、分子などは同時に2つの状態で存在することができ、この概念が量子技術を強力なものにします重ね合わせ(superposition)のさらに延長上にエンタングルメント(entanglements)がありますこれには2つの量子的物体が必要ですこの2つが絡み合う(エンタングルメントentanglements)と、個々の物体を分けて考えることはできませんエンタングル(entanglements)した2つの物体を宇宙の両端まで引き離したとしても、片方の状態はもう片方の状態に影響を及ぼすという時空を超えた相関をもちます」

注意しなければならないのは、脳科学や量子力学はオカルトじゃありませんので、瞑想と祈りと思索だけで成り立っている仏教とは一線を画するものです
ただ、2500年前のお釈迦様が最新科学と似た、というか、最新科学が、2500年前のお釈迦様の考え方に似てきたのは、注目に値します

仏教に普遍的真実が含まれている、と考えるべきでしょう

そうなると、因果応報とか、地獄極楽、輪廻転生、加持祈祷など、伝統的仏教の概念に、もうちょっと真剣に向き合う必要がある、と思われますね