種子金剛界曼荼羅図 絹本着色 鎌倉後期(14世紀)
種子胎蔵曼荼羅図 絹本着色 鎌倉後期(14世紀)
金剛界と胎蔵の両界曼荼羅を具備するのは密教寺院にとって必須とされています
金胎あわさって世界の完全な説明が出来ると考えられているからです
金剛界が唯識観、胎蔵が空観で、「唯識と空」が仏教の最も基本となる概念です
金剛界尊形曼荼羅 絹本着色 江戸中期 天明3(1783)
種子曼荼羅の梵字は、それぞれが、仏の画像に対応しています
胎蔵尊形曼荼羅 絹本着色 江戸中期 天明3(1783)
金剛界曼荼羅と胎蔵曼荼羅は、インドで約1500年程昔に全く別々に成立しましたが、日本で両界曼荼羅として合体しました
仏教の理解には「唯識と空」の組み合わせが必須だからです
世界を感覚器官を通じて認識しているというのが、仏教の出発点です
脳内に形成された意識が「唯識」、感じられる前の世界が「空」です
「唯識と空」が仏滅後約1000年かけて洗練され密教になります
「唯識」が金剛界曼荼羅になり、「空」が胎蔵曼荼羅になります
初期の仏教において「空」は比較的素朴な形で説かれるのですが、仏滅後1000年を経て、曼荼羅の姿に集大成されます
曼荼羅によって説明される「空」を、我々は自分の顛倒夢想によって歪めて受け止めています
その曼荼羅を獲得することを仏教は目指しています