インドの核戦略

いきなり何の話だと思われるかもしれません

櫻井よしこさんの主張の、要点を抜き書きしますが

インドは官民こぞって、歴史的経緯と国柄から、日本こそ最も望ましいパートナーだと考えている

中国は、インドの対中対処能力を殺(そ)ぐために、インドと対立するパキスタンに核を与えた。北朝鮮に核を与えたのは日本を同様の状況に置くためだと、インドの専門家は指摘する。

インドは一度たりとも核技術を他国に広めたことはありません。インドの核保有はパキスタンの核の前では自衛の核が必要だという点に尽きます

日本は米国のみならず、インドとの協調を必要とするのである。中国に正しく向き合うためにも日米印の同盟、協調が欠かせない。そのためにも日印原子力協定に早期に踏み切るべきだ。 

インド人は、極めて親日的です

第二次大戦後、インドが日本人無罪論を主張し、対日賠償を放棄したのを知らない人も多いと思います
戦後のアメリカ式洗脳の賜物です

ご自分で検索していただけば、いろいろ出てきますが、これは参考に

インド戦後史
http://wiki.livedoor.jp/tengy/d/%A5%A4%A5%F3%A5%C9%C0%EF%B8%E5%BB%CB
 
日本の戦後賠償
http://www.chiangmai-map.com/document/baisyo.phtml

僕は中国とインドに、もう何回も行きますが、はっきり言って、インドは中国よりも20年は遅れています、ヒンドゥー教の身分社会のせいだと思います
街を歩いていて、「あぶねーな」と感じることは中国ではほとんどありませんが、インドでは、まあ、常にあります
中国人にはほほ笑みがありますが、現地のインド人にはありません

土産物屋の、値段交渉は、似たようなもんかな
どちらも、めちゃくちゃ吹っかけてきて、とことん値切る必要があります
ですが
中国では、国営の土産物屋でも平気で偽物を売ります
インドで偽物をつかまされたことは、今まで一回もありません

インド人は、誰でも人間の根本に誠意があります
中国人は(綺麗に言えば)よく見極める必要があります

日本人にとって、インド人と核戦略を共に考えることができるのは、まことに幸運としか言えません

田母神さんを中心に、日本核武装論が盛り上がっていますが、あれは、議論の起点なのであって
もし、ですよ、本当に、万が一、本当に核戦争になったら、日本は5発も核ミサイルを撃ち込まれれば降伏するしかありません
つまり、撃ち込まれないように核武装する、と言ったところで、撃ち込まれればそれで終わりなのです
撃ち込むのをためらうほどの核武装をするなら、日米同盟を深化させるのがいちばん有効ではないですか
ミサイルディフェンスも有効ですが、迎撃しそこねることはあるでしょうから、100%じゃありません

実際に核戦争になっても、生き残れそうな国は限られています
アメリカ、ロシア、中国、インド、それとブラジル、オーストラリア、カナダ位か、あと、アフリカのどこかでかい国
これらの広大な国は、たぶん、核戦争になっても逃げる所があります

核戦争は、できる国とできない国がある、ということではないですか
ならば、日本にどのような核戦略が可能なのか

僕は
原子力の平和利用を基本としつつ
日米同盟
ミサイルディフェンス
インドとの協調
あと、付け加えるなら、原子力潜水艦と戦術核
が、日本にある選択肢だと思いますよ

北朝鮮を非核化するのは、もう無理ですし、中国とロシアは、日本をカモとしか考えてませんから、現実的な選択肢は限られています
やっかいな時代ですよ

 

【櫻井よしこ 菅首相に申す】対中戦略はないのか?

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/110113/plc1101130301005-n1.htm
2011.1.13  産経ニュース

 太平洋およびインド洋で国家の盛衰をかけた闘いが展開されている。米中印露および日本を中心にASEAN諸国、パキスタン、イラン、アフガニスタン、テロ勢力などが重要なプレーヤーだ。異なる民族、異なる宗教勢力が、核という大量破壊兵器とその運搬手段のミサイルを手にして、激しくせめぎ合うなか、戦略と気概なき国は他国にのみ込まれていくだろう。

 生き残るには、経済力だけでは不十分だ。アジアの大国であるわが国といえども、軍事力整備に踏みきる覚悟と、ユーラシア大陸、インド洋までを見詰めた大戦略なしには乗り切れない。
 日本の戦略はいかにあるべきか。その問題意識を持って私たち国家基本問題研究所の代表団は昨年12月、インドを訪れた。

 安全保障担当の首相補佐官、シヴ・シャンカール・メノン氏は、会うなり述べた。

 「国際政治の枠組みが急激に変化しています。経済も軍事も同様です。日印双方にとってのこの大好機をどう生かしていくか、戦略を話し合いましょう」
 同補佐官は、インドは官民こぞって、歴史的経緯と国柄から、日本こそ最も望ましいパートナーだと考えていると強調した。

 日印にとどまらず、国際社会の共通の課題は中国の位置づけである。メノン補佐官はこう述べる。

 「われわれは同じジレンマを抱えています。隣人(中国)は国境を侵すのをはばからず、われわれに直接的脅威を及ぼします。国力増大に伴い、彼らの外交や振る舞いは、強い自己主張で貫かれ始めました。日本は海洋と島嶼(とうしょ)問題に、われわれは陸上の国境問題に直面しています。それでもこの地政学的大国とは折り合わなければならず、日印は、中国に対して競争と協力という同じような解決策に落ち着きました」

 菅直人首相や仙谷由人官房長官らの民主党政権が、中国に心理的追従を続けるように、インドの対中外交にも半歩引く姿勢がないとはいえない。1962年の国境紛争での大敗が尾を引いているとの解説もある。加えて、インドは経済、軍事の双方で、現時点では中国にかなわないと考えがちだ。
 しかし、昨年12月、中国の温家宝首相の訪印時には気概も見せた。中国をはるかに凌(しの)ぐ技術大国で、中国に匹敵する経済大国で、中国に負けない軍事力も持ちながら、中国にまともに物を言えない日本に比べると、インドは真っ当な外交を展開したといってよい。
 国境問題でインドは譲らずに一矢報いたのだ。インド北東部のアルナチャル・プラデシュ(AP)州と北部のジャム・カシミール(JK)州は長年中印両国が領有権を争ってきたが、この1~2年、中国が特に強硬に出始めた。

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 一部地域には軍まで送り込んで、強引に中国領としての既成事実を積み上げようとする中国に、インドは強く抗議した。中国は一向に応えない。そこでインドは、従来中印会談の度に、チベットと台湾は中国の一部として、「中国はひとつ」と表明してきたのを、12月の首脳会談では表明しなかった。台湾の独立を認めたわけではないが、明らかにインドは闘うべきところで闘っているのである。

 中国のインド攻略は入念である。中国は十数年かけてインドを取り囲む軍事拠点を完成させつつある。インドの対中対処能力を殺(そ)ぐために、インドと対立するパキスタンに核を与えた。北朝鮮に核を与えたのは日本を同様の状況に置くためだと、インドの専門家は指摘する。

 中国は1982年、トウ小平のときに、第三世界に核およびミサイルを拡散する方針を決定、その拠点が北朝鮮とパキスタンであることは専門家らが指摘してきた。第三世界への核拡散の元凶は中国なのであり、北朝鮮とパキスタンも同様だといってよいだろう。

 インド政府高官はこうした世界の核の事情を日本政府と日本人に知ってほしいと語る。インドとの原子力協定をめぐって、インドが核拡散防止条約(NPT)に参加していないこと、将来核実験する可能性があることをもって、日本が原子力技術の移転に二の足を踏んでいることを指しているのだ。
 「だが」と高官は語る。「インドは一度たりとも核技術を他国に広めたことはありません。インドの核保有はパキスタンの核の前では自衛の核が必要だという点に尽きます

 NPT加盟国の中国と北朝鮮が核拡散の元凶であるという皮肉、NPT非加盟のインドが核拡散をしてこなかったという事実。日本の未来のための大戦略は、NPT加盟国か否かという外形にとらわれるのでなく、実態に基づいて構築されなければならない。日本は米国のみならず、インドとの協調を必要とするのである。中国に正しく向き合うためにも日米印の同盟、協調が欠かせない。そのためにも日印原子力協定に早期に踏み切るべきだ。
 戦略的視点から、私は前原誠司外相が提唱した日韓同盟も、北沢俊美防衛相が唱えた武器輸出三原則の見直しも支持するものだ。

 だがそうした発想を受け止める力は首相にはない。必ずや国民の支持を得たであろうに、武器輸出三原則の見直しは見送られた。時代を読みとれない首相には、日韓同盟はなおさら、荷が重すぎるだろう。

 メノン氏は戦略を語ろうと言ったが、わが国首相の貧しい発想には戦略などないのである。