以前もご紹介したことのある、金華鬘です
御霊殿では、北、東、南の三方にそれぞれ3枚づつ、全部で9枚懸けられています
本堂にも、中心の家紋の部分が輪宝で、瓔珞の意匠の違うものが、東に3枚、南に4枚、西に3枚、全部で10枚懸けられています
透法相華三葵紋切金梵字五色宝玉水晶瓔珞金華鬘
江戸初期 紀伊徳川御霊殿藩主前仏間
表側
右の梵字は「バク」、釈迦如来の種字(しゅじ)です
左の梵字は「バイ」、薬師如来の種字です
裏側
三葵紋はきちんと彫金されています
右の梵字は「キリク」、阿弥陀如来の種字
左の梵字は「ア」、ここでは多宝如来の種字です
おそらく、この四仏で東西南北を表していると思われます
バク、釈迦如来(北)
バイ、薬師如来(東)
キリク、阿弥陀如来(西)
ア、多宝如来(南)
仏殿の周囲に懸ける金華鬘ですから、方位を意識したのかもしれません
五色宝玉水晶瓔珞は西暦2000年に長保寺1000年(長保寺は西暦1000年創建)の記念に新調しました
もともとあった瓔珞は、さすがに350年の時間に耐えられず、失われてしまっていました
それで、和歌浦の雲蓋院(同じ天台宗。紀伊徳川家の法事の奉行所。また、和歌浦東照宮の別当寺だった。)にある、赤瑪瑙の瓔珞を参考にして新調しました
吊金具も手の込んだ細工です
北側の金華鬘の様子